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![]() ラッセル協会会報_第2号 |
「私はラッセルの『外界に対する我々の知識』(Our Knowledge of the External World, 1914)というものを読み続けて来た。恐らく,ラッセルが言うが如く,哲学は人間の運命に関する諸問題の解決を与えないし,また与えるべく努力もしないのかもわからない。恐らく人生の実際的な問題に答えを見出すことを望んではならないのかもわからない。というのは,哲学者はもっと重大な問題をかかえているのかも知れないのだ。」とやや悲観的な言葉をモームは述べているが,哲学という学問を実際に役立てようとしたモームの方にいささか無理があるようだ。しかしモームはその書いたものから判断して,ラッセルの意見に大いに影響を蒙っていることを多くの人は見逃せないと信じている。(筆者は当時,和洋女子大学教授,日本モーム協会幹事)